改装しても天窓を残した理由とは

2012.01.07

私が雲仙観光ホテルを訪れたのは、その改装が終了した直後だった。別世界への導入部のような雰囲気を思わせる、円錐形に繁ったカイヅカイブキの端正な並木道を歩いていくと、次第にシャレー様式の建物が全容を現わす。何度訪れても、素敵なアプローチだと感じる。その感動は、一歩中に入ると、さらに増す。丸太組みで野趣が溢れながらも、品格が感じられるロビー空間が広がっているからである。優れた老舗ホテルなら、どこでも感じることだが、時が重ねてきたものを大切に磨き込んできたスタッフの人々の心遣いが伝わってくる佇まいである。

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実際、戦前に円内で製造されたという見事な柱時計がいまでも甲斐甲斐しく時を刻んでいる。滞在した客室は三〇九号宗。ホテルの人が言うには、改装で二部屋を一部屋に合体させた客室だという。こういう部屋を四部屋設けたそうで、高級志向を視野に入れた形だ。そして、こう説明してくれた。「政装では、すべての客室の貼紙を張り替え、ベッドを入れ替え、デュヴェ・スタイルとしました。浴槽も猫足にし、照明器具もクラシックホテルにふさわしいデザインのもので刷新しました」室内は、天井には梁がわたるなど、外観の山小屋建築に似合ったしつらえになっている。そして、従来からあった入り口上の大窓も残されていた。爽やかな風を部屋の中に通して感じてほしいというホテルからの願いだそうである。